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【いすみ市】千葉県房総半島にある伝説のゲイビーチ「釣師海岸」を見る

上野駅13番線トイレの例を挙げるまでもなく、同性愛者の桃源郷の存在はノンケな一般ピープルが手に届きそうで届かない身近な世界に確固としてある。

性的マイノリティが常々社会的抑圧と戦いながら知恵を絞ってきた秘密のハッテン場は数あれど、上野駅のトイレという誰でも入れるような場所で四六時中盛りっぱなしの連中はさておき、大概は常人には考えられない場所に彼らのオアシスが存在する。それは全国各地にひっそり存在する「ゲイビーチ」である。簡潔に申せばスッポンポンの野郎どもがはしゃぎ回る秘密のプライベートビーチという事になる。

向かったのは千葉県外房にある「釣師(つるし)海岸」という存在自体が忘れ去られたようなビーチだ。住所で言う所の千葉県いすみ市(旧夷隅郡大原町)。九十九里浜が途切れた南側に位置する街で一般的にはいすみ鉄道とかが知られているだけのしょぼくれた田舎町だ。その外れにある岩船という集落を訪れた。

夜も更けた後で何が何だか分からない状態だが、とにかく釣師海岸の位置だけは押さえておきたいと思ったのだ。

カーナビで「岩船地蔵尊」を入力しておくと大丈夫だというので実際にそうしたらここに辿り着いた。集落からやや南に離れて山肌を登っていくと、釣師海岸の名を記す環境省と千葉県の記名のある看板が立っていた。ここだ。

「釣師海岸の一帯は、高さ60m程のほぼ垂直に切り立った断崖であり、外房第一の外洋的景観を呈しています。また、この場所は75の神々の漂着地と伝えられており、岩船八幡神社の祭礼には今でも75座の神々を供応する神事(大原町無形文化財)が行われています」

釣師海岸の案内とともに置かれた密漁禁止を伝える警告看板。しかしこれからの光景を見た後ではとてもこの海岸に辿り着く気がしないはずだ。

それはまさしく断崖絶壁の真下に広がる僅かな面積の砂浜だった。またこの場所から程良く景色が拝めてしまうのでより一層怖い。落ちたら間違いなく死ねる。夕暮れ時に神々しい風景が見れるし、なんだか首都圏に居る気がしません。

とっくに海水浴のシーズンが過ぎていたし、ゲイビーチにやってくる方々も崖下にあるという条件のためビーチが日陰に隠れてしまう昼2時過ぎにはとっとと帰ってしまうらしいので、もちろん砂浜の上には人の姿は見当たらない。

そしてこれが釣師海岸への入口。真っ暗なので全然状況が掴めないが、この入口は手掘りの洞窟になっている。その洞窟の入口真ん前にわざとらしく置かれた異様な看板群はこの先がいかに危険な通り道かという事を物語っている。

なにせ60メートルの高低差がある断崖絶壁の獣道を降りていかなければ辿りつけないという超ハードコアなプライベートビーチなのだ。過去には転落死亡事故が起きているらしく「危険 この先通行禁止」と赤文字で異常に大書きされた看板が目を引く。こりゃただごとじゃねえな。

あまりに出入りするゲイが多いもので、とうとう地元民が洞窟の入口に鍵を掛けてしまったらしく、現在出入り出来るのは漁業関係者のみとなっているらしい。こんな人里離れた場所だが看板の落書きやステッカーが目立つのはヤンキーの肝試し場か何かになっているためだろう。洞窟を潜った後も崖からロープ伝いに降りるポイントもあるし、落石も多いようで危険極まりない。

当然こんな状態ではビーチまで降りる事もかなわず、まあ今回は場所を確認したかっただけなので早々に退散したのだが、伝説のゲイビーチとはつまり人の立ち入りが極度に難しい場所であるが故の事なのだ。素人にはお薦め出来ない。

最後に岩船集落を離れる前に目撃した岩船八幡神社。ちょうど訪れたのが例大祭の時期だったらしく参道に明かりを灯した提灯がずらりと並べられていて幻想的な光景を見せていた。昼間だったら神輿を担ぐ地元の野郎どもが見れただろう。75の神々の座があるという神社の姿は闇夜の中にひときわ輝きに包まれていた。